差別化にも「リスク」があります。
どうか早いうちに、知っておいて頂きたい。
それこそ先日ね、
すごくこだわったイタリアンのお店にいったんだけど、
20個ぐらいある料理のメニューのほぼすべてが、
「よくわからなかった」んです。
知らない単語が多すぎて。
ああなると、ものすごく注文しにくい。
知らない単語を全部お店の人に聞くのも申し訳ないし、
何回も検索しないといけない……
そしてもっと大きな問題があります。
たとえば、
「ロマネスコとワニ肉のブルスケッタ」
という料理があったとして……
食べたいと思う?
多分、あんまり思わない(思えない)はず。
いっぽうで、
「岩手産プラチナポークの甘辛しょうが焼き」
だったら、どうでしょう?
こっちのほうが、注文が多そうじゃないかな。
個性とか特徴って、
出そうとしすぎると「アク」や「ウザさ」が
強く臭ってしまう。
その始まりは「わかりにくさ」なんです。
それこそ最初の例である、
「ロマネスコとワニ肉のブルスケッタ」
なんて、疑問だらけのはず。
【Q】ロマネスコって何? 想像できんわ。
【Q】ワニ肉って、どんな味? 固いとか臭いとかないの?
【Q】ブルスケッタって何? ビスケット的なこと? ワニの?
こうなったら、注文しないよね……
これはけっこう重大なワナでね、
独立志向が強い人は「個性を重んじすぎる」
という傾向があります。
「変わってていいじゃない!」というね。
(一般的な平均は、決してそうじゃありません)
そして、
「差別化をしなきゃ売れない!」
という気持ちは誰でも持ってしまうものだから、
良くないかけ算になるんですね。
結果、
誰にも「ピンと来ない」商品ができちゃう。
これは、よくあることです。
たとえば整体でも、
「仙腸関節アジャストメント」
「頭蓋仙骨療法」
みたいなことを看板メニューにしても、
ピンと来る人、いませんからね?
(ぼくも昔、そんなことを書いてましたけどね……)
★「それって何がいいの?」
(=私の体にどうプラスなの?)
というのが伝わらない限り、お金は出しません。
というか、怖くて「出せません」。
そう。
多くの人にとって、
※よくわからない=危ない
なんです。
だから、よくわからないという疑問を
与えてはいけない。
ただ、専門用語が必要なこともあるし、
信頼感につながることもあるよね?
じゃあ、どうしたらいいか?
解決策は主に2つ。
1.専門用語の「直後」に説明を入れて疑問を即解消
2.「わかりにくい要素」はトッピング程度に留める
ということです。
1はわかりやすいよね。
たとえば、
「得意なケアは、仙腸関節の調整です。
これは骨盤の中心にある関節で、腰痛やホルモン系の不調の
もっとも深い原因になるポイントです」
という感じ。
こんなふうに難しい言葉でも、
その直後にわかりやすい説明が来るなら、
むしろ「新しいことを知れた!」というプラスになる。
つまり、
ピンと来させてあげる(ところまで誘導する)
ということね。
2の「割合」も、とても大事です。
それこそ最初に例に挙げた
「ロマネスコとワニ肉のブルスケッタ」
なんて、わかりにくいことが3つも連続するよね。
わかりやすいのは「と」と「肉」と「の」ぐらいです(笑)
95%ぐらいが個性……といえば聞こえがいいけど、
ここまでわかりにくいと、正直、
お客さんに「手間や負担」を与えます。
いっぽうで、
「岩手産プラチナポークの甘辛しょうが焼き」
という名前には、そういうムダや負担がありません。
しょうが焼きはよく知ってる上で、
特長が伝わります。
「あ、岩手って豚肉が名産なのかな……東北だし、
いかにも環境が良さそう」
みたいなことも、ポジティブに想像できる。
このように、
個性の打ち出し方のバランスは、
ネーミングでは特に重要です。
ファッションでも同じだけど、
「差別化」や「個性」を追求し過ぎると、
悪い意味で浮いてしまう。
ごく簡単にいうなら、
「お客さんにやさしくない」んだよね。
それは、避けよう。
ついやっちゃうことだから、
よほど気をつけよう。
そのためにも、
お客さんからもらう質問は、
ひとつひとつ大切に噛み砕くこと。
丁寧に応えるのは当然として、
「これは、質問させてOKなことだったか?」
という自問自答を、習慣にしたい。
(これ超重要)
もし、
「お客さんに初歩的な質問ばかりされる」
と感じるとしたら、
「初歩的な説明さえ、こちらができてない」
と判断したほうがいい。
相手の理解力のせいにしてはいけない、
という問題以前に、
高い理解力をお客さんに求めること自体、
やさしくないんです。
差別化はとても大切です。
ただ、下手をすると、
「お客さんを差別する」ことになる。
「わかる人にだけ、わかればいい」
という言葉はなんとなくカッコいいけど、
わかりやすくする努力をサボっているなら、
ただの努力放棄だからね。
個性こそ、
わかりやすく、喜ばれる形で伝えよう。
本当ははそれだけで、
変わったことなんて狙わなくても、
差別化で大事な7割は完了しますからね。
ではでは、今日もお大事に。
専門分野に詳しくなればなるほど、
お客さんと遠くなるという覚悟を持っておこう。
(工夫や努力をしないと、ね)