楽ゆる式◎セラピスト塾

根っこから体調がよくなる整体セラピーのヒント。心と体、魂のツボ。

あなたのストーリーの始め方

あなたのストーリーの始め方




■今でもぼくの命を支えているもの

唐突なんですけどね。

ぼくは「水滸伝」に支えられています。
北方謙三の小説です。

なぜか?

 


それは、
ぼくが26才の夏、父が突然亡くなったときに、
ぼくを現実から遠ざけてくれたものだからです。

今ならやっと言葉にできますが、
ショックかどうも自分でわからないぐらい、
ショックだった。

そんなに「パパっ子」ではなかったつもりだけど、
何にもちゃんとできない時期が、ありました。

やりたいことも思い浮かばず、
超珍しく食べものにも興味がわかず、
とにかく眠たい。
寝ても寝ても、眠たい。

「水滸伝」を読んだのは、そういうときでした。

……あまりに面白い。
何にも興味を持てないような状態のぼくでさえ、
続きが気になってしょうがない。

心が「逃げ場」を求めていたのは確かなのに、
「よほどのもの」じゃないと、
没入できなかったんですね。

分厚い文庫本ですが、貪るように読みました。
寝るのも忘れて、1日に3冊読んだ日もあったなぁ。
ついちょっと前まで、あんなに眠かったのに……
読んでいる間は、
余計なことを何も考えなくてよかった。

この物語があったから、
ぼくは「避難」ができました。

泣ける小説でもあるので、
ドクドクドクドク泣いてましたが、
あれは、今思えば……父親を失った涙を
代わりに流していたのかも知れません。


あの頃、
もし水滸伝がなかったら……と思うと、
ちょっとゾッとします。

そして、今でも、
水滸伝は本棚に大切にしまわれていて、
読み返す度に勇気をくれる。

「何も考えたくないほどのことがあったら、
 水滸伝を読もう」
と思える存在……もはや「お守り」のようになっているんです。


■逆境の中でできる1番大切なこと

……というストーリーを聞くと、
「水滸伝」にちょっと興味を感じませんか?

あと、
「自分を支えるような小説とかマンガ」が
欲しいなって思ったり。

「逃げることが正常かつ必要なときもあるんだな」
って思ったり。

きっと、
感じるものがあると思うんです。

何よりぼく自身が、
「文章には、人ひとり、生き延びさせる力がある」
ということを思いました。

この体験があったから、ぼくは、
こうやって文章を書き続け、
本の執筆までできているのかも知れません。

どん底のような場所で、文章の力に打たれたからです。


きっと、
「逆境の中でできること」の重要な1つに、
これがあると思うんです。


自分のストーリーを見つけること。


■無条件に愛されるのは「復活劇」

ぼくがここまでお伝えしたのは、
ある意味、「復活劇」です。

そして、たぶん少なくない人が、
「水滸伝って、そんなに面白いの?」と
興味を覚えたんじゃないでしょうか。

(ちなみに、めちゃくちゃ面白いですが、
 けっこうマッチョイズムが強いハードボイルドなので、
 一部の女性からは敬遠される内容です)


そう、
「復活劇」には特に、大きな意味があります。


ぼくが
「もともと自律神経失調症だったけど、克服して、整体師になった」
というのも、復活劇です。

そこで興味を持ってもらえるのは、
「復活した方法」であり、そこからつながっているはずの
「自律神経失調症さえ回復する整体スキル」です。


復活劇には、悲しみを伴います。
それは間違いない。
痛みもある。

でもやがて、
自分の核をつくるような経験になります。
言葉にしておけば、さらにそうなります。

それが、
他の人の心をうつことさえ、
多々あります。


そして、
「復活を経て共感された人やもの」は、
強く、長く愛されたりします。

その代表は、今で言ったら、
「有吉弘行」でしょうね。


■「理由」があれば、ストーリーになる

さて、
ぼくどうして今、こんな話をしたか?

それは、今、あなたが、
あなたのストーリーを見つける時期だからです。

逆境の中にあって、もがいこと。
少しでも克服できたこと。
見つけた小さな支え。

そういうものはすべて、
あなたの「復活劇」になります。


たとえばそれが、
映画でも、
本でも、
マンガでも、
絵でも、
料理でも、
詩集でも、
刺繍でも、
ドラマでも、
水墨画でも、
エッグタルトでも、
仕事でも、
知り合いでも、
ペ・ヨンジュンでも……

「コロナで苦しかったときに出会って、自分を救ったものです」
って紹介されたら、
やっぱり重みが違うでしょう?


「それ探し」を今、
きちんとやっておくといいと思うんです。

必ず、今後の仕事と人生の支えになるから。



さて。


「長く売れたければストーリーを語りなさい」
みたいなことを言われる時代です。

たしかに、
品質やスキルでの差別化は、もう難しいからね。

でも、覚えたての話術で、
ペラペラと「自分語り」をしたって、
効果はどうしても薄いものです。


そうじゃなくて、
「逆境の中でつかんだもの」は、
真に力のあるストーリーになります。


些細なことでも、全然構いません。

コロナになってから、
あなたが見つけたものは、何ですか?

それを探すことは、
今の自分だけじゃなくて、
未来の自分のことも、助けてくれるからね。



ではでは、また、面白い日々を。
「希望探し」自体が、実は希望なんだよね。