今回は、ご質問に答えますね。
「自分は整体での独立を考えています。
集客のことはもちろん大事だとしても、
技術をまずは高めないと話にならないと思っています。
そこで、自分の技術が独立するのに充分かどうかは、
どう判断したらいいでしょうか?」
――はい。
これは、
すごく健全な悩みだと思います。
この悩みをちゃんとを経ずに
独立に踏み切ってしまうケースが
けっこうありますからね。それはもうイバラの道よね。
で、
答えはシンプル……なんですが、
それ以上に、知っておくべき「前提」があります。
その前提というのは、
●1.技術面で、上には上が無限にいる
●2.好みや相性の問題がかなり大きい
これら2つです。
実はこれ、厳しい話ではありません。
むしろ、やさしい話です。
どういうことか?
まずは、
●1.技術面で、上には上が無限にいる
これについて説明しましょう。
たとえば、今のぼくは、独立して13年目。
いやらしい言い方ですが、正直、
「繁盛してる度合い」でいえば、
かなりのご信頼を頂いていると思います。
でもね、
あったり前なんですけども……
ぼくよりスキルが上の人なんて、
いくらでもいる。
それはぼくだって、気になる。
上を目指す気持ちは、ずっとある。
ただ、これ……キリがないんです。
たとえば地上最強の整体スキルの人を100としましょう。
そしたらできるだけ冷静にみて、
今のぼくは多分52ぐらいです。
それでも、やれている。
充分、お助けできている人がいる。
そして何より、2010年、
独立したばかりのぼくのスキルといえば、
22ぐらいだっと思います。
……あ、ちなみに、
「じゃあ、日本の整体院の平均は何ぐらいなのよ?」
という質問が来そうですね。
それでいうと、15ぐらいです。
なんでそんな数字を(目安にせよ)言えるかというと、
ぼくが「めちゃくちゃ多くの整体を受けてきたから」です。
これはもう趣味だから、マネする必要は一切ないけどね(笑)
つまり、何が言えるか?
「一流のスキルにならないと独立できない、というのは誤解」
だということです。
たぶん、今回の質問者さんも、
今回の質問に共感した人たちもみんな、
この誤解を、してませんでしたか?
「一流のスキル」なんてものを得てから独立しようとしたら、
独立できないんです。正直ね。
だって学んでいくうちに、
「ホンモノの一流ってのは、思ってたより高みにあるぞ」
って思い知り(&打ちのめされ)続けるんだから。
それでは、独立のハードルが【無限の高さ】になってしまう。
キリがないのよ。
じゃあ、どう考えたらいいか。
「レアな得意スキルが1つ売れていれば、独立できる」
というものです。
(これ、独立を考えてる人は、どこかにぜひメモしてね)
シンプルに言いましたけど、
実は3つの要素がありますね。
A.レアなスキルを身につけていること
B.それが得意である(と思えている)こと
C.すでに「それ」で売れていること
つまり、
『実務経験は必須』です。
「売れたことがない」のに独立するのは、無謀すぎる。
「売れるまでにどうするか」もわかってないし、
「売れたあとどう維持するか」もわかってないし、
「売れるブームが一つ去った後どうするか」も、
わかってないんだからね。
勤めた場所で、
少なくとも1~3位ぐらいの指名を
取れていることが、
「C.すでに「それ」で売れていること」という基準の1つです。
あと、順番は前後しますが、
「A.レアなスキルを身につけていること」については……
楽ゆる式の中級以降のスキルを1つでも持っていれば、
正直、充分レアです。
ただ、楽ゆる式の内容がレアだと、
わかってない人も多いはずなんです。
なぜか?
それは「他」をよく知らないから。
そういう意味でも、実は
独立前にすごく重要なのが「リサーチ」です。
まずは自分が独立する予定の町、または、
独立したいと思える雰囲気の町を、仮に決めましょう。
(実際の独立は地元でするなり何なり、違うところでいいけど、
似た条件の町を想定してみる、という意味ね)
で、その町というか駅まわりで、
評判のいい整体院上位3つぐらいに、客として行くんです。
(グーグルマップとかで調べて、ね)
そしたら、多くのことがわかります。
●その町の料金の相場
●重視されている価値観
●ライバルの「武器」は何か
●ライバルと比べたときの自分の「武器」は何か
●ライバルにできて、自分にはできないこと
●ライバルにはできなくて、自分にはできること
●ホームページと現実のバランス
……などなど。
ぼくは実際、
西新宿五丁目駅で、それをやりました。
そしたら、
「ぼくのような内臓ケアをしているところは1つも無い」
ということが、わかった。
あとは、
「ぼくがお客さんとして納得できるような、
施術前後の説明をしてくれるところは1つも無い」
ということも、わかった。
そしたら、
「じゃあ、
内臓ケアと丁寧な説明さえしていれば、
ぼくはこの町で独立するだけの価値がある」
と確信できたんです。
すごく重要なポイントとして、
これは自信がついた……とかってレベルの話じゃありません。
具体的に「穴」を見つけて、かつ
「その穴を埋めるもの」が、自分の手持ちにあった。
そりゃあ、
「必要とする人はいるはず」ですよね。
これが、さっき話した中の
「B.それが得意である(と思えている)こと」
です。
そもそもね、
得意なのかどうかなんて、
〝比較〟をしないと、絶対にわかりません。
比較にも2つあって、
1つは今お話した「ライバル」(外部)と比べて
自分のほうが効果を出せる〝部分〟がある、という確認。
(あくまでも〝部分〟でいいんだからね)
もう1つは、自分が3つ以上スキルを持っていて、
「自分のなかではこれが得意」という(内部の)比べ方ね。
(これも充分、価値があります。だからぼくは、
中級以上にあるような専門系スキルを3つは持ってたほうがいい、
と生徒さんにすすめています)
……はい。
ここまで読めば、
『自分の実力の測り方』
という答えは、わかったでしょう?
3つ以上の専門スキルを学んだ上での、
実務経験とリサーチ…… を通した「比較」です。
これを経てないものは「強み」とは言えない。
短期間は「強みだ」と思い込めていたとしても、
逆境にかなり弱いはず。
というわけで、
永井的な答えはもう出たんですけども……
じゃあ、
最初にお伝えした2つの前提は、何だったのか?
というのは……
●1.技術面で、上には上が無限にいる
●2.好みや相性の問題がかなり大きい
これらね。
1はもう説明しましたね。
キリがないから「比較的に得意と言える〝部分〟をつくれ」
ということでした。
では、2は?
そう、結局、
整体というのもコミュニケーションであり「氣のもの」だから、
好みや相性に左右されるんです。
それも、かなり大きく。
何が左右されるかって、
「好かれ方」と「治療効果」です。
たとえば、
スキルのレベルが80もある人よりも、
スキルのレベルが50しかない人のほうが、
特定の誰かをよりよく治す、ということが、あるんです。
「氣が合う」というときにね。
こうなってくると、ますます、
「技術で一流になること」の意味やリアリティって、
わからなくなってくるでしょう?
だって、
お客さんが10人いたら、
それぞれの人のために「10種類の一流」が
あるかも知れないんだもん。
だからぼくは一流ではなく、
「一人前」という言葉を使います。
体がなぜ壊れてなぜ治るのか、
それは体がどういうつくりだからか、
やっちゃいけないことは何か、
スキルを支える、スキルより大事な基礎力とは何か?
こういった「人体学」への理解は、必須です。
もちろん、これだけで一流の条件とは言えません。
(そんなものは明確には存在しないけどね)
ただ↑の人体学がわかっていれば「一人前」には、なれる。
だからぼくは未だに「初級コース」を全力で教えています。
(毎年8月~12月開催のやつね)
あれがわかってないと、セラピストとして長く保たないから。
はい、話を戻しましょう。
つまり、
好みや相性が、
実力の差を超えてしまうことがある。
だったら、
「あなたが好みに合い、あなたと相性が良いお客さん」は、
その地域の他の先生より、あなたに診てもらった方が治るし、
喜ぶんです。
あなたに診てもらうべき、なんです。
要は「見込み客の全員をとりこもう」
だなんて思わなければいいの。
そんなの、よく考えたらおこがましいよね。
「あたいに合う人だけ、あたいのところにおいでませ。
合う人であれば〝比較的〟いい結果が出るはずだから」
って思ってるぐらいが、一番いいの。
(ぼくは今だに、そう思い続けてます)
サッカー選手でも野球選手でも、そうでしょう?
どこのポジションをやっても全部で1位、
なんて必要はないし、絶対ムリだもん。
それは「あの大谷選手」でも、ムリでしょう。
プロとしてやっていくには、
自分が戦うエリアで、自分に果たせる役割があれば、
それでまずは充分なんです。
そして、
その場所を「まっとう」しているうちに、
むくむくと特化した専門性が育ってくるから。
そんなわけでね、
話はちょっと濃くなり過ぎたけど、
独立を考えるなら、これ、絶対に忘れないでね。
ではでは今日も、面白い一日を。
こういう準備がちゃんとできてれば、
独立だって「イチかバチか」ではなくなります。