■すげえ達人たちの、1番大事な共通点
「達人のワザは、個性的である。
ただ、全員共通して・・・異常に触診(タッチ)がうまい」
これは、整体の世界の法則みたいなもんです。
実際に、僕も「病気を治してしまう系」の達人に
たくさんお会いしてきました。施術も受けましたが・・・
氣功、ハリ、レイキ、理学療法系、頭蓋仙骨系、
リンパ系、オステオパシー系・・・
やり方も考え方も、本当にいろいろです。
「ガンを治すぐらいの達人」なのに、
「腸骨筋って何?知らない」って人もいて(笑)
得意なことは、バラバラなんですね。
ただみんな共通して、「診断が異常にうまい」。
そして、ほぼイコールなんですけど、
「手(タッチ)がものすごく柔らかい」。
これは、技や考え方が違っても、
共通していました。
そしてそれが――「決定的」でした。
■なぜ、触診(タッチ)がそれほど重要なのか?
氣功だろうがオステオパシーだろうが、
もっとも結果を左右するのは、「イメージ」なんです。
これは治療に詳しくなればなるほど、実感します。
まったく同じことをしているようでも、
「イメージが悪い」場合は、効かない。
「イメージが良い」場合は、効く。
そんなこと、当たり前に起こるんです。
そのあたりは、スポーツとか芸術とかとも似てますね。
イメージがあるかどうかが、キモなんです。
そして、イメージを読み取るのも、
伝えるのも、「手」なんです。
たとえば――
「手探り」という言葉がありますね。
人は何かを全力で感じ取ろうとするとき、
手を使うんです。もっともするどいセンサーだから。
そして、言葉よりも多くを伝えるとされる
ボディランゲージでも、もっとも多用されるのは、手です。
もちろん、施術で一番使われるのも、手ですね。
これは氣功などでも同じ。
つまり手は、「メッセージのやりとり」をするのに、
一番活躍するパーツで、「イメージを読む」にも、
「イメージを伝える」にも・・・
手(タッチ)ができてるかどうかで、
天地の差になるんです。
■タッチだけで、うまいか下手かがわかる
だから、新しいセラピストに施術をしてもらうとき、
これだけで、実力がほとんどわかります。
タッチがうまい人で、施術が下手な人は、かなり珍しい。
タッチが下手な人で、施術がうまい人には、会ったことが無い。
直接患者さんに触れない氣功をやる先生でさえ、
「手は柔らかい」んです。
なぜか?
それは、
「手がかたいと、伝わらない」からです。
想像してみると、すぐわかります。
もし、停電になったとき――
スマホを探すなり、壁づたいに歩くなり、
ブレーカーを探すなりするとき・・・
手からは力を抜くはずなんです。
そうじゃないと、読み取る力が落ちるから。
それが本能です。
■「読み取れる」か「伝わる」かは、柔らかさ次第
これは、読み取るときだけでなく、
伝えるときも同じです。
かたい手からは、ちゃんとした
メッセージ(氣やイメージ)が伝わらないんです。
表情が硬い人って、何を考えてるか、
わからないでしょ?
おんなじです。
やわらかいほうが、ちゃんと伝わるんです。
その代表が、赤ちゃんですね。
感情が、すごくすごく伝わってきますよね。
アレです。
あの威力(伝達力)なんです、欲しいのは。
■手のやわらかさが、上手・下手を完全にわける理由
これで、大分わかりやすくなったかと思います。
タッチはたとえるなら、会話力みたいなもんです。
相手がどんなメッセージを切実に発していても、
聴く力が弱いと、よく理解できない。理解したことが
相手に伝わらないから、「安心してもらえない」(これがヤバい)。
逆にこっちがどんなにいい情報をもっていても、
説明力が弱ければ、スムースに伝えることができない。
言葉(情報)が相手にしみこんでいかないわけですね。
要は、タッチの力は、そのまま、
「コミュニケーション能力」だということ。
治療法の価値が、100あったとしても、
それが、100伝わるのか、
10しか伝わらないのかが、「タッチの質」で
変わっちゃうわけです。
そしてそれが、相手(の体)が求めるものであれば、
100%消化されるけれど、
そうじゃなければ、10%しか消化されないかもしれない。
で、その「相手(の体)が求めるものかどうか」を
知るのは、やはり、触診(タッチ)なんです。
だから、
「手がやわらかいかどうか」は、セラピストにとって、
致命的な素養になってくる。
100の威力のワザが、100の結果を出すのか、
1の結果しか生まないのか。
それを完全に分けてしまう。
■どうすれば、確実にタッチが上達するか?
最後に、「じゃあ、どうしたらいいのか?」
タッチは、自信がない人が多いんですが、
大丈夫です。僕も最初、めちゃくちゃ下手でした(笑)
(同期よりずいぶん下手で、けっこういじめられました)
でも、「あることを意識」すると、急に
うまくなるのが早くなります。
それは、
「持ち物を、最適な力で持ち運ぶようにすること」と、
「触診のときは、密度を意識すること」の2つです。
それぞれ、説明しましょう。
■1)ちょうどよく力を使う(最適な力で持ち運ぶ)
たとえば、
2リットル(=2キロ)のペットボトルを持つとき、
どれぐらい、ギュッと力を入れていますか?
これね、
「俺のほうの力も、ちょうど2キロだわ」って人、
いないんです。・・・いたら、ド天才か、ド変態です(笑)
でも、そこなんです。
「2キロのものを2キロの力で持てば、リキまない」
んです。無駄な力が一切ないということ。
反発もされないということ。
「ちょうどよく力を使う」と言ってもいい。
これは、パソコンでも同じです。
キーボードをうつとき、やたら音がでかい人、
いるでしょう?(笑)
あれこそ、リキみですね。
氣がムダに放出されてる。反発が大きいから、
音が大きく出るわけです。
もっと静かに、赤子が起きないぐらいでいいんです。
そのほうが圧倒的に疲れませんしね。
他に、足音もそうです。
やたら大きい人、いますよね(笑)
達人は大抵、「忍びか!」ってぐらい、小さいんです。
それは「ちょうどよく力を使っているから」です。
やはり、無駄な反発がないので、音が出ません。
忍者とかそうでしょ?
足の「運び」が良いとかっていいますよね。
踏み方とかじゃないんです、運び、なんです。
渋いですよねぇ。
・・・というわけで、
「それに必要な最低限の力だけをちょうどよく使う」。
これが、タッチを早く上達させる、1つめの奥義です。
すげえ変わります。
歯磨きのときの歯ブラシも、ご飯食べるときの箸も、
スマホのときの指も、施術のときの手も・・・
同じです。
強すぎてもダメ。弱すぎるほうがマシだけど、
弱すぎてもダメです。
これを意識しましょう。
意識しはじめたらもう、治療の威力が上がっています。
■2)密度を意識する
カタいかどうか。
これは、人間のカラダでは、密度が高いかどうか、です。
乾いているかどうか(水分より具が多い状態)と言ってもいい。
たとえば、
キャベツが詰まっているかどうか、
重さでもわかるけど、ちょっと手で掴むだけでも
わかりますよね?
あと、超わかりやすいのは、風船です。
風船って、表面をさわっただけで、空気がパンパンなのか、
もうしぼんできているのか、わかりますよね。
密度=「押し返す力」でもあります。
だから実は、みんなすでに、
「生活の中で当たり前にやっていること」なんです。
その延長でしかない。
だから、誰だって鍛えることができる。
ただ、意識にコツがあるだけ。
というわけで、密度をたしかめるつもりで触れていると、
触診はどんどん上手になります。
「カタいかどうか」というよりも、
「どれぐらい密な状態か?」と 意識したほうが、
見えるものはたくさんあります。
それがわかってくると、
筋肉がこっているかどうかだけでなく、
筋膜とか皮膚とか、いろんなものの状態が
読めるようになってくるんです。
面白いでしょ?
■すべてに、優しく
簡単にいえば、こういうことです。
歯ブラシだって、強くつかんじゃったら、
「痛え!」って思ってるかもしれないじゃないですか(笑)
だから、
「ものに対しても、優しく接しよう」としてたら、
それだけでいいわけです。
で、優しく触ってたら、
「密度がわかるようになってくる」んです。
手がやわらかくなってるからね、自動的に。
そしてそういうとき、
「一番良い氣が、一番たくさん出る」んです。
そう・・・これが一番大事かな。
あらゆる手を使った行為が、
本当は、「手あて」なんですからね。
ほんとうは、色んなことが、
「真に優しく在るための手段」でしかない。
最近、そんな風に思えてきました。
・・・ちょっと年寄りくさいかな(笑)
――それではまた、面白い毎日を!
達人の施術がソフトな理由も、今回の話でわかりますね。