●「あら~、あんた、またこぼしちゃったの!
もーーーしょうがないんだから・・・あっち行ってなさい」
僕は、いろいろとよくこぼす子どもでした。
食べものとか、飲み物とか、グチとか。
(今でも割とそうですけども(笑))
その度に、↑みたいなセリフを言って、
おかんが片付けてくれてました。
●でも、あまりに多いからってのもあるんですけど、
ある頃を過ぎると、おかんの声に怒りが含まれるように
なったのです!(当たり前か・・・)
「もう、またなの!?
自分で全然片付けられないくせに・・・
あっち行ってなさい」
というように。
●当時、小学校低学年だった僕はカチンと来て、
大声で言い返しました。
「いつも片付ける前に、母さんが
やってしまうからやろうが!
雑巾貸してよ!俺がやる!」
母親の手から雑巾をひったくるように奪って、
僕は自分で掃除をしました。
恥ずかしさと悔しさ、自分の情けなさへの怒りで、
泣きながら拭き掃除をした記憶があります。
●あの頃は言葉にできなかったけど、
今ならわかります。
僕は、いつも申し訳なかった。
こぼしてしまう自分も、それを自力で何ともできない自分も。
情けなかった。
でも、掃除をすぐに始めてしまって
イライラしている母親には、ごめんなさい、と
繰り返すしかなかった。(他に思いつかなかった)
それが続けば続くほど、情けなさと申し訳なさが入り交じった
無力感ばかりが積み重なっていました。
●もちろん、母親が悪い!という話ではありません。
そもそも、こぼしまくる自分、積極的に動けなかった自分に
問題があります。
ただ、自分から『出番』をつくる(意思の)力が、
あの頃の僕には、なかったんです。
●でも、自分への怒りが飽和してドカーンと爆発し、
自分で泣きながら掃除をしていたら、気づくことが
たくさんありました。
「牛乳を掃除するのって、すげえ気持ち悪い・・・」
「こぼすと、飲めないだけじゃなくて、掃除もいるし、
カーペットも汚れて最悪なんだな」
「そういうことを、今まで、おかんにやらせてしまって
いたんだな・・・」
「今まで自分は、知らずにおかんに甘え続けていたのか」
「もう二度と、こぼしたくない」
「どうやったら、こぼさずに食べられるんだろうか」
●こういうことって、ひどく重要だと思います。
自分で『尻ぬぐい』をして、初めてわかることです。
あのあと僕は、母親に「ごめんなさい」を言えたのでしょうか。
そこまでは覚えていませんが、何かお返しをしなければ、
と感じたことまではよく覚えています。
●だから、贅沢を言うなら、
最初、もしくは2回目ぐらいにこぼしたときに、
僕に『出番』を与えて欲しかったな、と思います。
「あなたも手伝いなさい」とか、
「お母さんが見てるから、自分で掃除してみなさい」とか。
反省も感謝も工夫も、
自分の責任で、嫌なことをちゃんとやったときに
生まれてくるものかも知れません。
●・・・という長すぎる昔話から入りましたが(笑)、
何かを言いたいかというと、「カラダも同じことだ」
ということです。
あなたは、お母さんです。
患者さんのカラダ(またはあなた自身のカラダ)が、子どもです。
●お母さんが、子どもの「代わり」に必要な仕事を
してしまうと・・・もっと言えば、出番を取り上げてしまうと、
子どもは成長しません。
『自力』を失ってしまいます。
自分で考えなくなります。
気力が痩せていきます。
掃除の例にしてもそう。
最近は宿題を代わりにやってしまう親もいるそうですが、
それもやっぱり、子どもの成長の機会を奪ってしまいます。
●隅々までやるマッサージというのは、まさにこれです。
リンパドレナージュも、これに近いものが多いと思います。
『カラダの仕事を奪ってしまう行為』です。
カラダは、
「ああ、自分が頑張る必要なんてないんだな」と
思ってしまいます。
出番を奪われれば、気力も、成長の機会も奪われます。
●強い力で行われる骨格矯正(下手なカイロ)も、同じです。
骨の位置をちゃんとするなんてことは、カラダにとって
あったりまえの仕事です。ほんとうは。
感覚神経系がちゃんと姿勢のズレを感知して、
それを小脳にフィードバックし、小脳は耳や目を通じて
平衡感覚をフル活用し、よい姿勢に戻す。
そのプロセスで、適切に骨がつかえるように筋肉を操作する。
・・・これはすべて、
カラダの仕事なのです、本来。
セラピストの仕事ではありません。
●じゃあ、お母さんやセラピストがどこまで
やるべきなのか・・・というと、
「本人(子どもやカラダ)のやる気が出る程度の
刺激を提供して、自力でがんばるのをサポートしつつ、
見守る」
というところです。
あくまでも主役は、本人(カラダ)です。
僕らの出番ではなく、本人の出番なんです。
●ここを間違うと、セラピストは歪みます。
「全部自分がやんなきゃっ!」って持っちゃうことで、
やり過ぎてもみかえしが来たり、本人の回復力が弱まったり。
自分が治さなきゃ!などと気負いすぎて、
改善がなかなか見られないときに妙に悩み過ぎたり。
(患者さんの生活原因があまりに大きいときでさえ)
本当は最重要なケースなのに
生活の中にある原因を指摘するのに氣が引けたり。
セルフケアをきちんと勧めることができなかったり・・・。
それは本当の意味で相手に優しいのではなく、見方を変えれば
患者さんに対する過度の遠慮だったり、
自分や施術への過信だったり、ときには傲慢だったりもします。
僕らの施術や言葉は・・・
相手本来の力を甘やかすのでなく、伸ばすものでないといけない。
相手の機会を奪うのでなく、助けるものでないと。
●これもやはり、カラダだけでなく、
心にも脳にも共通の原則です。
『領分(担当すべきエリア・範囲)』といってもいい。
これをカン違いすると、間違いなく歪みます。
●今回の知識が使いやすくなるように、
具体的な質問サンプルを並べておきます。
ぜひ、セルフチェックに使ってください。
(色んな問題に、応用できるはずです)
どこまでを自分がやるべきで、
どこからは相手に任せるべきか。
自分が変えるべきところがどこで、
相手が変えるべきところはどこか。
(どちらかのみが変えるべき、ということは
人間関係においては有り得ないと思います)
変えるべきところは、
性格というほど深いのか、
習慣(クセ)を直すぐらいが適当なのか、
ただ言い方(表現)の微調整で済むのか。
機会(出番)を奪われていないか?
出番を自らつくろうとしているか?
力を節約することで、成長を封じていないか?
『領分』が正確に把握できるようになると、
働きやすさだけでなく、生きやすさまでもが向上します。
ぜひ、材料に、きっかけに、使ってください。
【 今回のポイントや補足 】-------------------------
出番を奪われると、子どもと同じようにカラダはスネる。
成長のきっかけやモチベーションが痩せてしまい、
依存的で弱いものになっていく。
代わりにやってあげることは、優しさとは言い切れない。
主役を本人として、手伝い、見守るところまでで自分の
領分を区切ることが重要になる。
相手のためにも、自分のためにも。
・・・編集後記につづく。
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■お知らせや近況報告など:
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● 【NEW】 8/25(日)13時~18時
『素質活用型の顧客ケア&アフターフォロー クラス(管理ツール込み)』
マーケティング3部作、という感じで、
アフターフォローのクラスを行います。集客、接客ときて、
最後の締め、です。
それぞれ完結型なので、苦手なところだけでも強化しておくと
良いと思います。ちなみに、今回のポイントは、
『ご無沙汰のお客さんが、ちゃんと戻ってきてますか?』
というところです。
いったん離れている(時間があいた)お客さんが、
また改めて通ってくれるようになっているか?
というのは、独立を安定させる上でも非常に重要です。
また、ちゃんとした治療計画を立てるためにも、必須になります。
独立を早期に安定させたいと考えてる人には、ぜひ。
⇒ http://www.ht-b.jp/erm/class/soshitsu_kokyaku.html
●【NEW】9/8(日)13時~18時
『マグネット・リチューナー ~痩身とコリ、皮膚と筋力調整~』
という特別クラスをやります。これは今回限定で、
ツールの入手が困難なので、次回の予定はまだありません。
永久磁石が入って、コロコロのアイテムを使うと、
皮膚、筋力、コリが整い、解毒、浄化が起こるために、
ほぐれる&健康にすごく良いだけでなく、痩身効果があります。
ツールを使うだけで技術がいらないので、やり方さえ
学べば経験が全くなくてもフル活用できるという手軽さが魅力です。
こちらは詳しい案内ページができ次第、追ってお知らせします。
●スクールの予定一覧ページ、更新してあります。
忘れちゃったときの参考に、ブックマークでもしておいて下さい。
⇒ http://www.ht-b.jp/erm/yotei.html
●近日開催のスクール:
受けモレがある方、復習(再受講)したい方、単発参加もOKなので、
ご希望があれば、お知らせ下さい。
▼ 8/4(日)初級5回目:統合クラス(全身ケアまとめ)
▼ 8/11(日)上級7回目:頭蓋仙骨療法
▼ 8/19(月)臨時上級:頭蓋仙骨療法
▼ 8/25(日)【経営系】顧客ケア&アフターフォロー
▼ 9/1(日)レイキ・ベーシック(初中級)
▼ 9/8(日)【限定】マグ・リチューナー(痩身・皮膚・筋肉・解毒)
※ すべてのクラスについて、再受講は半額になります。
(毎回新しい内容が含まれることもあり、再発見が多くあるようです)
※ ちなみに記事のバックナンバーは、コチラからチェックできます。
http://bit.ly/vSWKkI
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■編集後記:
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頭をぐりぐりと軽く押してみて、
他より妙に痛いところがあるとしたら・・・
カラダのどこかの負担が大きくなってる
可能性が高いです。
ごくだいたいの目安でいうと・・・
●頭頂部: 頭の使いすぎ、電磁波系
●側頭部: 内臓関係、目、耳、アゴ
●後頭部: 目、首、骨盤
・・・という感じです。
痛気持ち良い程度にギューっと手のひらで
フワーっとゆっくり離す。
これだけでも、ある程度のケアになります。
『硬いのを放っておいちゃいけない場所ランキング』でも
最上位グループにあるのが頭ですから・・・
ちょくちょく、様子みてあげましょうね。
特に、セラピスト自身が、要チェックです。