楽ゆる式◎セラピスト塾

根っこから体調がよくなる整体セラピーのヒント。心と体、魂のツボ。

【心体.8】セラピーを受けるのは、治るためじゃない?

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 ■ 治るかどうかよりも、重視される『感情的価値』


● 前回のポイントは・・・

 『相手の興味のある話』にするために有効なのは、
 「●●さんの場合は・・・」という話し方をすることで、
 『一般論』でなく、『その人個人のための話』にすること。
 そのためにも、しっかりとした基礎知識を身につけたい。

 ・・・ということでした。

● そして、今回のポイントは・・・

 


 「治すことにこだわり過ぎると、おかしくなりがち。
  もっと大切なことは、『感情的な価値』の提供」

 ということです。

 それを再認識させられたエピソードを、お伝えしましょう-

■ トメさんの首

 

● この前、65歳の女性の患者さん、トメさん(仮名)が来ました。
  本人の主訴は、『腰痛』と『座骨神経痛』です。

● 「病院ではヘルニアと脊柱管狭窄症と言われ、色んな
   整体や電気治療、ブロック注射、カイロプラクティックなどを
   試しましたが、ちっともよくなりません。先生がたも
   付き合っていくしかない症状だね、と言うばかりで・・・
   でも、諦められなくて・・・(涙)」という状況。

● こういうケースは、本当によくあります。診ると、確かに
  腰椎に詰まりがあり、左側(ヘルニア側)の背骨沿い(一側)に
  強めの緊張があります。

● ただ、ポイントとして、『全身に強い緊張癖』がありました。
  軽くふれるぐらいでも、ググッと力が入り、守ろうとしてしまいます。
  (こういうケース、けっこうよくありますよね。)

● まず、施術としては、緊張をとっていきます。
  話をよくきき、背骨をゆるめた時点で、緊張が半分ぐらいに。

  特にハリのつよいお尻、ハム(腿裏)、膝裏をゆるめて、
  逆に弱すぎる腰部外側、側腹(よこっぱら)を強化。
  これで、ずいぶん全体のバランスは整いました。

● それで仰向けになりましたが、表情がまだ冴えません。
  「痛みは大分減ったんですけど・・・」とのこと。
  カラダの緊張癖も残っています。
  (こういうケースも、よくあります)

※ ちなみに、痛みが減っても表情や機嫌がよくならない場合は
  ほとんど、心理的な問題(主にメンタル・ブロック)があります。

 

■何が、決定的に調子を変えたか?


● これは、「カラダはよくなっても、カラダが納得していない」
  という状況なんです。これでは実は、施術は片手落ちです。

● そこからはもう、検査とトークばかりしました。
  「沿ったり、足を上げたり、ひねったり、叩いたり」いろいろと
  『ヘルニアや脊柱管狭窄症の検査』があるのですが、
  それらをすべて、解説つきでやりました。

● その結果、
  「今、施術前より症状が明らかに軽い実感があることからも、
   検査の結果からも、トメさんの腰痛や座骨神経痛は、
   ヘルニアや脊柱管狭窄症によるものではないですね」と
   確認し、詳しく話し、納得してもらいました。

● そうすると・・・
  「先生、私は今日、救われた思いです。実は・・・私には、
   ヘルニアや脊柱管狭窄症は一生治らず、しかもどんどん悪化して
   やがて歩けなくなる、というイメージがあって、本当に
   怖かったんです。これで希望が持てました」
   といって、涙ぐんでいらっしゃいます。

● そして、面白いことに、カラダの緊張癖が半分以下に。

● じいちゃん&ばあちゃんっ子度合いが激烈な僕としては、
  こういうときすぐ込み上げまくって大変なんですが(笑)、
  そこは鉄の自制心でこらえつつ、話を続けました。

 

■無視できない、説明の影響力


● 結果、施術前の痛みを10とすると、
  施術後の痛みは6、お話後の痛みは2になり、本当に
  嬉しそうに次回の予約をとり、
  「先生、私、我慢していたんだけど、ダンスを
   再会してもいいですか?いいですよね?」と言って、
  少女のような顔で帰っていかれました。

● 話し方、歩き方が全然違ったものになりました。
  『カラダの状態』だけでなく、『心の状態』が変わったからです。


こういうのは何も、珍しいケースではありません。

患者さんはもちろん、
『カラダを治したい』とは思っています。

でも、それと同じぐらい・・・というより、
実はそれよりも大切なことは、『心の変化』です。
永井がよくいう、『安心・納得・希望』です。

これがあると、回復のスピードや深度は、
まったく違ったレベルのものになります。

 

■患者さんはそもそも、何のために来ているのか?


なぜかというと、患者さんは、
「痛いから来ている」というより、もっと正確に言えば、
「痛いことで『心が不安だから』来ている」とか、
「痛いことで『心が辛いから』来ている」ということなんです。

イメージできますか?

こういうケース、本当に多いです。
(病院でも整体でも、名医・達人と呼ばれるひとは、
 こういうところが本当に強いです)

逆に言うと、
症状がそれほどは改善した実感がなくても、

「変化自体はゆっくりしていて当たり前で、その理由は
 こういう原因だからで、でも原因はちゃんと減っていて、
 その証拠は検査でも変化として出ていて、
 回復していく見通しはちゃんと立つし、
 実例にもたとえばこういう人がいますよ。
 こういうセルフケアなんて、オススメです」

・・・というように、安心・納得・希望が
きちんと提供できれば、患者さんは満足できます。
そして、『心の力』が強い追い風となったスピードで、
回復が起こっていきます。

(また、これができないと回復しない神経系の症状が
 かなり増えています。間違いなく今後、もっと増えていきます)

ここに、注目しましょう。

もちろん、施術の技術も大切です。
でもそれは、『当たり前』です。そこを見落とす人は
あまりいません。

だからこそ、施術やその結果ばかりに注目してしまい、
すっぽり見落としがちな、『感情的価値』の提供。

この重要性を、改めて、胸に刻んでおきましょう。

今後、ますます重要になっていくのは、
間違いないですから。


【 今回のポイント 】・・・・・

本当の回復は、『患者さんの心の健康度』が変わったときに
起こる。『カラダの健康度』をあげるのはもちろん、
『感情の変化』のきっかけを提供することで、
『心の健康度』をあげられるセラピストを目指すべし。
それが、今後ますます求められる、セラピストの必須スキルである。

【 次回予告 】・・・・・

次回は、ちょっとバリで受けた刺激によって、
内容を考えます(笑)